皆さんは、2015年に行われた国連サミットで採択されたものを覚えているでしょうか。SDGs(エス・ディー・ジーズ)という世界が目指す目標が決められたのです。今回は、SDGsとは何か、そしてSDGsに林業はどのように貢献していくことが出来るのかについて紹介していきます。
SDGsとは
SDGsは、Sustainable Development Goalsの略称で、持続可能な開発目標を指します。
2015年の国連サミットで、国連加盟193ヶ国が2016年∼2030年の15年間で達成するために掲げた目標になります。
目標は、大きく17個に分けられ、これを達成するための169のターゲットで構成されています。目標とターゲットについては、こちらを参考にしてください。参考URL:https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/17goals/
林業とは
林業は、木を育てて森を作り、十分に育った木を切って売る産業のことを言います。
切った木をそのまま丸太として売ったり、細かく砕いたチップに加工して売ることもあります。木を切った場所には、新たに苗木を植えて、新たな木を育てます。森では、木材だけでなく、木が薪や炭に変わりますし、地面に雨を蓄えきれいな水を作り出すこともあります。災害により土砂崩れが起こっても木の根が土をせき止めてくれるという役割を果たすこともあります。このように森は、ただ木を育て売るだけではなく、様々な面で役立っています。この森を守っていくことも林業の仕事になります。
林業とSDGsの関連性
森林は、国土の安全・水源の涵養・地球温暖化防止・木材の生産など様々な分野において大切な資源です。日本では、SDGsへの関心の高まりから、林業に関わる活動が注目されています。SDGsの達成に向けて政府は林業に関わる取り組みの後押しをしていくことが必要とされています。SDGsの17の目標の内、とくに林業とかかわりがある目標が15の「陸の豊かさも守ろう」ですが、これ以外にも森林に関わる目標があります。
SDGs達成に向けた林業の貢献
林業は、SDGsの達成のためにどのように貢献していけるのでしょうか。
森林が造られ利用されるまでの全工程の中で、「森林の持続可能な経営」「木材の生産・加工・流通」「木材の利用」「キノコジビエ等の利用」「森林空間の利用」の5つが挙げられ、SDGs17の目標の内14の目標に貢献できます。それぞれ解説していきます。
【森林の持続可能な経営】
森林の持続可能な経営とは、森林製品及びサービスをその本来の価値と将来の生産性を過度に低下させることなく、また、物理的・社会的環境に過度の望ましくない影響を及ぼすことなく、持続可能な森林製品及びサービスの清算に関して、一つ以上の明確な目標を達成するための森林経営プロセスと定義されています。
森林の持続可能な経営を行うためには、
・法律や規則の遵守
・森林の生産力と環境保全機能を守る
・生物多様性の保全に尽力
・社会的・経済的な機能を維持する
といったことが挙げられます。
【木材の生産・加工・流通】
林業において、ただ木を切るだけでは、森林経営が出来ているとは言えません。林業において大切なのは、木材生産から流通までの流れを作ることです。コストや場所、管理体制をしっかりと行い、流れが滞ることのないようにしていきましょう。
【木材の利用】
木材を何に利用するのかは、とても重要です。日本の木材利用の多くは、建築に利用されます。建物を建てる際の建築資材として、多く使用されます。また、炭や薪に加工して使用することも考えられます。木材の種類によって向き不向きもあるので、目的に応じた最適な木材を選ぶようにしましょう。
【キノコジビエ等の利用】
キノコジビエだけでなく、森林には木だけでなく、様々な資源が眠っています。これを上手に活用していくことも視野に入れましょう。ただ取りきるのではなく、長期的に生産、採取、流通が行えるように管理することが重要です。
【森林空間の利用】
林業では、木を切る・植えるだけでなく、森林空間の利用についても考えていきましょう。森林空間を利用したその土地の伝統的な文化、自然の恵みに触れることで、林業の重要性を再認識し、林業の分野の注目を集めていくことも大切です。
まとめ
林業、森林経営において特に重要なのは、森林資源の循環にあります。長く森林が維持できるような仕組みを創り、かつ、幅広い空間の上手な活用でSDGsの目標を達成していきましょう。森林所有者の方は、一人で、頑張る必要はありません。民間事業や国に助力を求め、森林の長期的な経営が行えるように仕組みを定めていきましょう。SDGsはまだまだ半分以上の期間を残しており、今から取り組んでも遅くはありません。日本の一国民として、SDGsの達成に手を貸し、自身の森林経営の見直し、改善にもつなげていくことで、日本の大切な資源を守りながら、利益を安定的に出していくことが出来ます。
以上、SDGsと林業の関係性と貢献について紹介しました。林業に関わらず、多くの人に言えますが、SDGsの取り組みは他人ごとではありません。ぜひこれを機会に国の取り組みに目を向けてみてください。