J-クレジット制度を活用した森林経営を行う

J-クレジット制度は、省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みにより、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。J-クレジット制度は、森林経営の取り組みも関わるということで、農林水産業者の方も活用することが出来ます。今回は、J-クレジット制度を活用した森林経営について紹介していきます。


農林水産業の取り組み

J-クレジット制度を活用したプロジェクトの内、農林水産分野は、全体の26%程度のプロジェクトがあります。(2020年3月時点)実際にどのような取り組みが行われたのか見ていきましょう。

一つは、施設栽培ハウス内の加温用の熱源を従来の化石燃料または系統電力ではなく、木質バイオマスを燃料とするボイラーに変更することで、CO2排出量を削減します。さらに、園芸用施設のおける化石燃料方式のCO2施用について、別途設置している空調用ボイラーの排気ガス等からCO2を回収し施用するシステムを導入することで、CO2排出量の削減に繋がります。

どちらもCO2の排出量を削減できたことからJ-クレジット制度を利用することが出来ます。クレジットとして創出したら、その他の取り組みの費用を創出したクレジットの売却益で一部補うことで、様々な改修・改善を行うことが出来ます。森林経営はJ-クレジット制度との相性がいい
上記のことから分かるように、森林経営はJ-クレジット制度と密接な関係があります。植物は光合成によってCO2を吸収します。つまり効率的な森林経営を行うことで、森林経営に係る機器から排出される温室効果ガスの排出量削減に繋ぎ、クレジットを売買することで、さらなる設備投資、社会貢献になります。

【森林経営で排出量削減・吸収に関係あるもの】

森林経営を行う上で、どのようなものが排出量削減・吸収に関わっているでしょうか。
・森林経営における電動式の機械や車両(CO2排出するもの)
・管理事務所内の空調設備やボイラーなど
・植林を行うことでCO2吸収効果を上げる
他にも設備によって変わってきますが、森林資源はCO2削減の一番の影響力を持ちます。経営に携わる中で、CO2の吸収効率がいいということは、森林管理がとてもよく出来ているということを表します。

オフセット・クレジット制度の利用

カーボン・オフセット等に使用するために国内の自主的な温室効果ガス排出量削減・吸収プロジェクトによる排出削減・吸収量の認証・クレジット発行を行う制度です。対象となるプロジェクトは、種類や条件を特定した「ポジティブリスト」に適合したものになります。ポジティブリストは、「オフセット・クレジット創出モデル事業」を通じてアイデアを募集または気候変動対策認証センターで随時意見を募集し検討されます。

【森林経営プロジェクト】
森林法の森林施業計画・森林認証制度、都道府県の「企業の森づくり」制度により持続的な森林管理を確保します。森林法での森林計画対象の森林であることと対象地で土地転用を行うとクレジットは発行されないことを念頭に置いておきましょう。間伐促進型(2007年度以降に間伐を行った面積が対象)と持続可能な森林経営促進型
(1990年度以降に間伐・主伐・植栽を行った面積が対象)の2つがあります。

【植林プロジェクト(京都)】
2008年4月1日に森林法での森林計画は対象でなく、京都議定書上の森林の定義を満たしていなかった森林で、2008年度以降に植林を行った面積が対象となります。
上記のようなプロジェクトが都道府県ごとに行われています。

持続的な森林経営を目指す

森林経営にJ-クレジット制度を活用する大きな目的として、何十年も先まで見通した森林経営計画を立てることが挙げられます。森林経営は、規模の大小によって変わりますが、維持するために費用(コスト)がかかります。この費用は、決して安価なものではなく、管理者を苦しめる原因の一つです。
J-クレジット制度を活用することで、管理費用の一部を補うことが出来るので、息の長い経営を行っていくことが可能になります。そしてCO2の排出量削減・吸収と森林経営の関係から、積極的に導入しやすい取り組みでもあるので、計画的に森林経営を行うことが出来ます。J-クレジット制度の活用における森林経営まとめ
以上、J-クレジット制度と森林経営について紹介しました。日本の林業は、まだまだ人材不足であり、持続的な森林経営を行う上でも課題や問題はたくさんあります。J-クレジット制度のように、森林経営を手助けする制度や活動が増えていくことで、大切な資源を守っていくことが出来ます。
また、直接的に林業、森林経営に関わっていなくとも、CO2排出量の減少、吸収の取り組みを行い、J-クレジットを創出することで、間接的に森林資源を守ることに繋がります。個人・企業の積極的なJ-クレジット制度の利用をおすすめします。ぜひ、活用して環境問題に取り組んでいきましょう。

J-クレジット制度を活用した森林経営を行う
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