SDGs取り組み「持続可能な森林管理の目指すべき姿とは?」
193の国連加盟国が取り組んでいる持続可能な達成目標であるSDGsには、森林資源を守るための目標や課題が設定されています。土壌汚染や森林伐採等により減少傾向にある森林を守るために林業に関わる人たちの取り組みはとても重要になります。今回は、森林経営による森林管理の目指すべき姿を考察していきます。
林業とは
一般的な林業のイメージは「木を切って、加工して販売する」というものでしょう。林業の1つであることは間違いありません。林業とは、地球上の貴重な資源である森林をどのように活かし、次の世代に受け継いでいくかを考えて、維持していく仕事を指します。木を伐採、加工することだけでなく、森林が持続的に維持できるように整備したり、災害の防止に役立てることもします。
持続可能な林業の条件は
世界的の上位に位置するフィンランドの森林は、ヨーロッパでは一番多く、国土の70%以上を占めます。また、長年に渡って持続的な森林管理を行ってきたフィンランドでは、持続可能な林業の条件として、以下の6つを挙げています。
・森林資源と世界の炭素サイクルへの森林資源の貢献を維持し、適切に増進すること
・森林の生態系の健全性と活力を維持すること
・森林の生産的機能(樹木および樹木以外)お維持し、促進すること
・森林の生態系の生物学的多様性を維持、保護、適切に増進すること
・森林管理における保護機能(特に土壌と水)を維持、保護、適切に増進すること
・その他の社会経済的機能と状態を維持すること
この条件を指標とし、世界でも持続的な森林管理を行えるように各国が独自の手法も加えながら、取り組んでいます。
先進的な森林管理方法
適切な森林管理が行われていない森林に対して、適切な管理が行えるようにAIや先進技術を利用した調査が行われます。口腔期を使用して、上空からレーザーでの森林資源と地形の解析を行い、森林整備の取り組みに役立てます。他にも衛星とAIを使用して、森林資源がどのように変化していっているのか状況の分析を行い、今後のアプローチの仕方の参考にします。高性能なものですと、データとして森林を保存し、3Dでの確認が出来るものがあります。どの場所で、どのくらいの木を伐採すると、どのような影響が出るかを分析できます。これにより、森林管理の予測を容易にし、持続的な森林経営を行えるようになります。
持続的な森林管理の目指すべき姿とは
目指すべき持続的な森林管理とは何でしょうか。「持続的」という言葉があるように、森林管理を行う上で20年、25年、30年と先を見越した森林管理計画を立てることが大切になります。この計画を元に、環境面・社会面・経済面の様々な面において森林の価値バランスを維持していくことが必要です。環境面では、地球温暖化の問題が得に叫ばれています。地球温暖化を防ぐ方法はシンプルにすると「森林を増やし、光合成によって二酸化炭素を減らす」ことです。単純に考えると植物が増えれば二酸化炭素は減り、地球温暖化の進行を遅らせることが出来るのです。ただし、無計画に植物を増やしても意味がないことは留意しておきましょう。適切な方法で、適切な増やし方を模索していくことが必要になります。社会面では、木材を使った建物、木を加工して作る製品、燃料や肥料など、木は人間が生活していく上で、様々なところで役立てられています。ただ、木を消費し続けていけば、森林は減る一方です。減った分の森林が再生していくように森林循環が機能していくようにしていかなければなりません。取り組みのひとつとして、人工林の構築事業は一定の成果を上げています。人工林によって木材の確保と貴重な天然林の保全の役割を担っており、今後も注目していきたい活動です。
経済面において、日本の経済の現状、木材の自給率は上昇傾向にあります。90年代は、木材の輸入量がとても多く、森林の減少が問題とされていました。しかし、人口的に植林を行い、スギやヒノキなどの木を増やすことで、自給率は9年以上、上昇傾向になりました。今後、木材の自給率が挙がれば、海外に向けて木材を輸出し、経済の活性化にも役立てていくことが出来るようになります。コロナ禍の今、紙製品やパルプ製品需要が高く、林業の持続的な経営は、日本を支えるためにもとても重要なものになります。
持続可能な森林管理の目指すべき姿まとめ
以上、持続的な森林管理の目指すべき姿について模索しました。今後の林業は、新しい考え方や手法、世界の森林管理上位の模倣など様々な角度からアプローチしていくことが重要です。もちろん林業に関わる人材の確保も大切で、林業の大切さを伝える活動を国が積極的に行っていくことも必要だと思います。森林を管理し、生態系や資源を大切に、持続的に、保っていくことで、日本そして地球を守ることに繋がります。