前記事ではJクレジットを利用した森林経営について解説しました。この記事ではJクレジット制度を利用するための登録・認証や、創出したJクレジットの販売・マッチング方法について解説します。

○ Jクレジット制度の登録・認証について

1. プロジェクト計画書の作成

 まず、Jクレジット制度を利用するためにはプロジェクトの計画書を作成し、どのようなCO2排出削減/吸収事業を行うか記載して提出する必要があります。この計画書の作成においてはJクレジット制度事務局側による作成代行制度がありますので、活用することで負担が少なくなります。

2. プロジェクト妥当性の検証・確認

 次に、その計画書がプロジェクトの実体を反映したものか、制度規程に沿っているかなどの妥当性を確認するため、特定の審査機関に確認してもらう必要があります。妥当性確認には森林プロジェクトの場合平均で100万程度の審査費用がかかりますが、このうち80%はJクレジット制度事務局によって支援してもらうことが可能です。

3. 登録申請

 妥当性が確認された場合、国が正式にプロジェクトを登録するため、規定の提出先・方法で申請資料を提出する必要があります。登録はJクレジット登録簿システムによる電子申請です。
 晴れて登録されたプロジェクトはJクレジット制度公式ホームページからすべて参照することが可能になります。

4. モニタリング実施

 登録したプロジェクト計画に基づき、実際の CO2 排出削減量および吸収量を算定するため、計測を行った上で報告書を作成します。報告書の書式は決まっていますが、こちらも事務局側による作成支援があります。

5. 報告書の検証

 報告書を作成した後、特定の審査機関にモニタリング報告書が規程に沿ったものか検証される必要があります。こちらもプロジェクト妥当性同様70万円程度の審査費用が掛かりますが、事務局による審査費用支援で100%が支払われます(ただし上限あり)。

6. クレジット発行

 検証終了後、J久慈レット制度認証委員会によって承認され、クレジットの認証・発行が行われます。その際も特定の書式に沿って申請資料を提出する必要があります。こちらも電子申請システムを利用しての申請となります。
 認証・発行後、クレジットの活用をすることができるようになります。

○ Jクレジットの売買方法・マッチングについて

 Jクレジットの売買にはいくつかの方法があります。その代表的なものを紹介します。

・Jクレジット・プロパイダーによる仲介

 Jクレジット・プロパイダーとはJクレジットの創出・活用を支援する事業者のことで、Jクレジット制度公式サイトのリストに掲載された事業者にコンタクトを取ることによって仲介してもらうことが可能となります。事業者によっていくつかの特色があり、PR 効果やワンストップでの制度活用支援など、利用目的によって様々な選択肢があります。後述するクレジット一覧を参照するのと比べ、活用ニーズに合致するプロジェクトのクレジット調達を仲介事業者に代行してもらうことが可能です。

・売り出しクレジット一覧への掲載

 Jクレジット制度公式サイトの「売り出しクレジット一覧」に掲載することによって、プロジェクトで発生したJクレジットを直接取り引きすることができます。購入側は、特定商品の売上やイベントの収益でクレジットを購入することで、間接的に環境保全活動に協力することができます。一覧へはプロジェクトの概要や再生可能エネルギーの利用有無、売却量や値段などが細かく掲載されていますので、購入側は賛同するプロジェクトを様々な視点で検討しながら選ぶことができます。なお、実際の売却価格はクレジット購入者との相対取引で決定します。

・入札販売への参加

 売り出しクレジット一覧に掲載後、六ヶ月以上経過したクレジットは入札販売でクレジットが売却されます。売却機械は年に1~2回程度であり、入札販売の落札価格が売却価格となります。落札価格を下回った場合はクレジットの購入ができませんので、特定のプロジェクトの賛同ではなく、広くクレジットを購入したい購入者に利用されます。

○ Jクレジットの利用によるカーボン・オフセット

 カーボン・オフセットとは、どんなに努力しても発生してしまう CO2 を他の場所で削減された CO2 量で埋め合わせする取組で、Jクレジットの利用によって実現することができます。たとえば、「どんぐり制度」と呼ばれる枠組みでは参加した製品・サービスに「どんぐりマーク」を付けることで、それが環境に配慮した製品・サービスであることをアピールすることができます。

○ まとめ

 本記事ではJクレジットの活用について、登録・認証から創出したクレジットの売買まで解説しました。Jクレジットの利用によって、本来環境問題とは遠い位置にある製品であっても消費者に間接的に環境問題へ取り組んでもらえるため、積極的に活用して国全体で環境意識を高めていきましょう。

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